交通事故の過失割合について

過失割合とは

過失割合とは、交通事故におけるお互いの過失の度合いを割合であらわしたものです。

交通事故の際に、被害者の側に過失があった場合、被害者の過失を考慮して加害者が負担すべき損害賠償額を算定(減額)することを過失相殺といい、民法722条2項は「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」と規定しています。

この減額の程度を決めるものが、過失割合となります。

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過失割合の影響

過失割合は交通事故から発生するありとあらゆる損害賠償額に影響します。
過失割合1:9なら総額から10%減額、2:8なら20%減額されるわけです。

具体的に計算してみましょう。

交通事故に遭い、後遺障害等級11級程度のケガを負った事案です。

傷害部分後遺傷害部分
①治療費:
②通院交通費:
③入院雑費(42日):
④休業損害:
⑤入通院慰謝料:
3,900,000円
60,000円
63,000円
780,000円
1,800,000円
⑥逸失利益:
⑦後遺障害慰謝料:
⑧雑費等:
10,000,000円
3,400,000円
300,000円
小計6,603,000円小計13,700,000円

総額 20,303,000円

過失割合0:10であれば総額20,303,000円をまるまる受け取ることになります。
しかし、過失割合1:9となると10%にあたる2,030,300円が減額されます。
過失割合2:8となると20%の4,060,600円が減額されることになるわけです。

慰謝料部分のみではなく、治療費や休業損害、逸失利益などすべてが減額される点で、過失割合の影響が非常に大きいことがわかっていただけたかと思います。

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誰が過失割合を決めるの

ではこの過失割合は誰が決めるのでしょうか?
警察でしょうか?保険会社でしょうか?

過失割合は、任意交渉の段階では当事者の合意により、訴訟の段階では、判決により定まります。

つまり保険会社が「この場合は過失割合3:7ですから」といってきても必ずしも拘束されるわけではないのです。

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過失割合の認定基準

もっとも、過失割合はまったくの任意で定まるものでもありません。
実務上、過失割合については、「別冊判例タイムズ第16号」という本が認定基準となっています。
この本は、東京地方裁判所の交通事件を集中して扱う民事第27部(交通部)の裁判官が、交通事故態様や道路状況等を類型化して基準を定めたものであり、各裁判所でも同書の基準に基づいて判断しているようです。

この本に基づき、当事者の合意または判決により、過失割合は定まることとなります。

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過失割合の各論

車両同士の事故における過失割合について、以下PCサイトに詳しくまとめてあります。

  1. 第1 交差点での事故(出会い頭)
    1. 信号機のある交差点
    2. 信号機のない交差点の場合
  2. 第2 交差点での事故(右折車と直進車の事故)
    1. 1 同一道路を対向方面から進入した場合
      1. (1) 信号機のある交差点
      2. (2) 信号機のない交差点(A:直進車 B:右折車)
    2. 左または右方向から進入した場合
  3. 第3 交差点以外での事故(道路外出入車と直進車との事故)
  4. 第4 交差点以外での事故(対向車同士の事故・センターオーバー)

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