2 治療費など実際に支出した損害について

各費目ごとに解説します。

1 治療費

基本的には全額が認められます。
ただし、不必要に高額な治療費や不必要な診療については認められないこともあります。

よく問題となるのは、特別な治療法、整骨院・鍼灸・マッサージ・カイロプラクティック・温泉治療等の代替医療と個室代金です。
・代替医療
これら代替医療については、原則として医師の指示がある場合に限って認められることになります。
※むちうちの場合に整骨院に通われる方が非常に多いですが、あくまで病院を通院を主として補助的な利用に留めて下さい。整骨院に対する治療費は認められない場合があります。
・個室代金
個室代金については、病院の構造上それ以外の選択肢がない場合や将来的に確実に再度の手術が行われる見込みがある場合などについても、請求できる場合があります。

なお、事故の相手方が任意保険に入っていなかったり、過失割合が極めて不利な場合には、健康保険の利用も可能です。この場合、病院によっては後遺障害診断書の記載をしてくれない場合もあるようなので、医療機関との調整は必須です。

2 付添看護費
医師の指示があった場合や、けがが大きい場合、被害者がまだ子供で、付き添いの必要性が高い場合に認められます。1日当たり6,500円程度が損害として認められます。
3 入院雑費
通常入院した場合にかかる身の回りの費用のことです。
入院1日につき1,500円が認められるのが通常です。
4 通院交通費、宿泊費など
電車、バス、ガソリン代等の交通費の実費が認められます。タクシーは、症状等から通院困難な場合のみ認められます。監護者の通院費も必要があれば認められます。宿泊についても、必要があれば認められます。
5 医師への謝礼
社会通念上相当であれば認められます。おおむね、医師1人につき10万円程度ですが、入院期間が1年を超えるなど長期の場合には50万円程度を認めた事例もあるようです。
6 学生・生徒・幼児等の学習費、保育費、通学付添費等
被害者の被害の程度、内容、子供の年齢等から必要かつ妥当な範囲で認められます。
大学を休学した場合の授業料、高校を休学した場合の補習費用、家庭教師への謝礼等が事情に応じて認められています。
7 装具・器具購入費
義手、義足などの費用です。これも不必要に高額でなければ認められます。
8 家屋・自動車等改造費
傷害の程度や後遺症などで、家屋にスロープを付けたりホームエレベーターを付けたりする場合の費用は、必ずしも全額が認められるわけではありませんが、相当な範囲内で認められます。
9 葬儀費用
原則として150万円まで認められます。被害者が若年の場合には、仏壇、仏具購入費等が認められる場合もあります。
10 弁護士費用
認容額の10%程度が認められるのが通常です。

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