後遺障害等級の中で最も重い障害の残る「1級」認定。
1級認定を受ける事のできる状態と後遺障害等級1級の慰謝料についてご紹介します。

後遺障害等級1級について

1級とは?

交通事故による後遺障害等級の中でも1級は最も重いものとされています。
例えば脊髄などの神経系統の機能に障害が残って要介護となったケースや、
両目を失明してしまったケース、両腕両足が正常に機能しなくなったケースなど、
これまで通りの日常生活を送る事が非常に困難な状況になってしまった場合、
後遺障害等級1級に認定されます。

1級と他の級の違い

例えば視力を例に挙げると、両目が失明した状態もしくは矯正視力が0.01だと1級認定ですが、2級の場合は片方の目が完全に失明した上に失明してない方の矯正視力が0.02以下であれば2級として認定されます。
また咀嚼障害と言語障害においては、両方認められれば1級ですが、どちらか片方だと3級認定となってしまいます。

要介護の後遺障害等級の場合も「常に介護が必要か」と「生活のサポートとして介護が必要か」で1級と2級の認定に相違が出ます。
このように例を見るだけでも後遺障害等級1級の状態はいかに深刻で重篤なものか良くわかります。

1級に認定される後遺症とは?

後遺障害等級1級の後遺症は「要介護でなくても重篤な症状の残る後遺障害」を指します。
例えば前の項目で他の級との差を説明した「両眼が失明したもの」は「後遺障害等級第1級1号」で「咀嚼障害と言語障害」の両方後遺障害が「後遺障害等級第1級2号」に相当します。

この他、両足が麻痺して動かなくなった場合は後遺障害等級第1級3号~6号」と認定されます。
いずれも、両腕両足の可動域が10%以下となった場合で「動かない」という事実さえあれば認定されるので、ケガの理由が神経性のものか、筋肉の硬直によるものかなどの経緯は問われません。

後遺障害等級1級の場合は「要介護後遺障害第1級」という項目も存在します。
1号が「神経系統機能又は精神に著しい障害を残し常に介護を要するもの」2号が「胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し常に介護を要するもの」とされています。
これは要介護にしても介護なしにしても、かろうじて命は取り留めたものの、元通りの暮らしができなくなるほどの障害が残るいわゆる「寝たきり」の状態を指します。意思疎通もできないというのが通常です。
 要介護後遺障害第1級の認定を受けると通常の後遺障害認定1級よりも高額の保険料が支払われます。この場合、慰謝料、逸失利益のみならず将来介護費についても請求可能であるためです。

「後遺障害別等級表別表第二」による「後遺障害等級1級認定」の詳細は以下の通りです。

第一級の後遺障害

1号 両目が失明したもの
*眼球亡失やようやく明暗を弁じ得るものを含みます

2号 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
*咀嚼は流動食しか摂取できない状態を指します。
言語は「口唇音」「歯舌音」「口蓋音」「咽頭音」の4種子音のうち3種以上発音不能のものです。

3号 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
*肘と肩の間で切断したという事です。
所見が明白な後遺障害です。

4号 両上肢の用を全廃したもの
*肩・肘・手首の可動域が失われた状態を指します。
また弛緩性麻痺のために自動運動ができない状態や手指が廃した状態も該当します。
要するに、両手が全く使えない状態ということです。

5号 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
*足を肘と股関節の間で切断したという状態を指します。

6号 両下肢の用を全廃したもの
*股・膝・足首が硬直した状態、足の指がなくなった状態も該当します。

*1級の3号から6号は手足に深刻な障害が残った状態、4号については事故前と比べて可動域が10%以下になった状態を指します。また5号に関しては両足を根元、あるいは膝より上で失った場合を指します。

介護を要する場合の後遺障害等1級の後遺症は以下の通りです。

「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し常に介護を要するもの」
*「神経系統の機能の障害」とは脳や脊髄を損傷して四肢麻痺となった状態を指します。

「胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し常に介護を要するもの」
*心臓・肺・肝臓・膵臓・脾臓・胆のう・胃・腸・膀胱などの障害の為
いわゆる「寝たきり」となった状態を指します。

後遺障害等級1級の慰謝料・示談金について

後遺障害等級1級が認定されたら、以下の慰謝料・保険金が受領できます。

★自賠責保険金額

後遺障害等級1級の自賠責保険金は3,000万円、要介護の場合では4,000万円支払われます。

★逸失利益

後遺障害等級1級における労働能力損失利益は100%とみなされています。
労働能力喪失率×喪失期間に対応するライプニッツ係数×事故前年の年収額事故前年の年

例えば、年収500万円の40歳会社員の場合は、以下の計算になります。

5000000×14.6430(27年分のライプニッツ係数)=7321万5000円
※喪失率は100%のため、計算には含まれません。

★慰謝料「交通事故慰謝料協会」によると後遺障害等級1級の慰謝料平均額は以下の通りとなります。

赤い本 2,800万円
青い本 2,700万円~3,100万円
任意保険 1,900万円

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